一輪挿しに山吹が活けてある

神奈川県の最西端の地、湯河原。

伊豆半島の付け根に位置する温暖なこの地に仕事場を構えて、17年の月日が経ちました。

 

一年を通して陽の当たる山の斜面には、温暖な気候を活かして多種多様なみかんが栽培されています。

春先にはみかんの収穫、そして枝葉の剪定作業が行われます。みかん農家から出たその枝葉をもらい受け、燃やして灰を作り、それを原料に調合した釉薬「みかん灰釉」。

 

みかん灰釉の器は、薄水色でしっとりとした質感。奈良県の赤土を用い、土中の鉄粉が表情を作ります。

風合いだけではなく機能面にも気を遣います。器は、窯入れしてから一昼夜しっかりと焼き抜いて、簡単には壊れない丈夫な造りです。

また、丈夫な上に軽快な軽さの器は、洗った後もからりと乾き、いつまでも清潔にご使用いただけます。

 

私の作った器が、皆様の食卓に小さな幸せを呼び込めたなら、こんなにうれしいことはありません。

 

                                         陶芸家 伊東正明